開催日:平成26年11月27日(木) 14:40~16:10
税を考える週間特別講演会が西尾商工会議所で開かれ、講師の西尾税務署長 高橋達也氏が「知って良かった!相続税の改正~正しい知識を、幅広い方々に~」をテーマに話した。
高橋署長は、西尾税務署着任前は財務省主税局に23年間勤務。このたびの改正相続税法、贈与税法の企画・立案や法令の策定など、その作業全般にわたって中心的な役割を担った経験をもつ。今回の改正がマスコミなどで大きく取り上げられているがやや表面的と感じており、講演会を通じて正しく理解してもらいたいとの思いを語った。
バブル期の地価急騰による相続財産の価格上昇に対応した負担調整を行うために引き上げられてきた相続税の基礎控除について、今回の改正で課税ベースの拡大、税率構造の見直しが図られた。基礎控除額が大幅に引き下げられたため、テレビや雑誌などでこの部分だけがクローズアップされて誤解されていると高橋署長。「相続税を払うような財産を残す人は100人に4人。今回の改正で100人に6人ぐらいが対象になると思われるが、依然として大多数の人は関わることがない」と説明し、「相続税の課税対象となっても、9割近くの方は負担割合が10%に満たない。一部の富裕層の方が納税額のほとんどを担っている」と相続税の現状について説明した。
実際の事例を用いてバブル期以前、バブル期、今年度、そして今回の改正後の場合と比較し、確かに今年度と改正後を比較すると負担額は増えるが、それでもまだバブル期以前の3分の1の金額であると説明し、理解を求めた。
贈与税については今回の改正では逆に大幅に減税されている。この20年を見てみると、高齢化の進展や資産移転時期の高年齢化に伴い、高齢者層が保有する資産の割合が高まっている。これらの資産を若い世代へ移転しやすくなるよう、今回の改正では子や孫等への贈与に対して税率を緩和している。このように相続税と贈与税はセットになっているが、相続税だけが大増税されたような報道があることに触れて、「テレビや雑誌などは改正税法の一部分を取り上げているため、皆さんは不安を抱いていると思いますが、信用できる税理士さんなどに相談して、正しい判断をしてほしい」と呼びかけた。
投稿日時:2014年12月01日